クリーンエネルギー自動車


普及とクリーン度
 この100年間に、世界中で走る自動車の台数は約7億台まで膨れ上がった。日本だけでも現在約7千万台で、これらの数は今後30年間で倍増するものと予測されている。いまのところ化石燃料の燃焼エネルギーを利用する構造の車が主流を占める。しかしながら油井の枯渇はあと数十年で兆候が出はじめるであろうし、それにもまして、排出され続ける二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物、微粒子などによる環境汚染の心配が大きい。

 2000年に入ってから、ディーゼル車の排ガスに含まれる微粒子による人体への影響を懸念する自治体や世論の声がとくに大きくなった感がある。2000年の夏、環境庁は自動車窒素酸化物法の改正を準備し始めたほか、ディーゼル排ガス規制の規制強化も検討している(2007年の実施予定は前倒しの見通し)。「いまさら?―― 分かっていたんじゃあないの?」という人もいるだろうが、ディーゼル車について「排ガスには発がん性がある」と公式発表されたのは初めてのことなのだ(2000年9月8日発表、環境庁ディーゼル排気微粒子リスク評価検討会中間取りまとめ)。

 最近のクリーンカーは、省エネルギー性や地球温暖化対策としても優れている点に特徴があった。ここへきて、現在走っている車による人の健康への影響も検討することになった訳だ。この背景には、従来から交通量の多い道路の沿線住民が健康被害を受けていた実態があった。

 わが国のクリーンエネルギー自動車の導入規模試算表(単位は万台、総合エネルギー調査会「石油代替エネルギー部会」資料、1994年)と、その低公害性を表すグラフを以下に掲げておく。

1994年の資料。表中、(*)はディーゼルトラック代替車に限る。(*2)は原油換算。棒グラフは、排出ガス中のNOx排出量で比較した低公害性を、車種は中型トラック、ガソリン車とディーゼル車では規制値の70%と仮定、EVでは'88年発電ミックス構成比により加重平均して比較。
時期現在2,000年2,010年
車種自然体高水準自然体高水準
電気自動0.21.020.09.7100.0
天然ガス車0.041.020.09.7100.0
メタノール車0.030.24.42.122.0
LPG車(*)(数10台)0.24.42.122.0
総計台数0.32.448.823.6244.0
万kl(*2)0.43.468.331.2323.6


 上表資料より以降にクリーンなエンジンと省エネをモットーに開発がなされ、すぐれた成果のあがった方式としては、ガソリンエンジンと電気モーターとを併せ持つ@ハイブリッド車、Aガソリン直噴式エンジン車、B天然ガス自動車などがある。

天然ガス自動車の普及の勢いはめざましい。

ハイブリッド車やガソリン直噴式エンジン車は、排気量の同じクラスの平均値と比較して約4割(ハイブリッド車)〜6割程度(直噴式エンジン車)の低いCO2排出量を誇っている。各自動車メーカーは、1ないし2年以内に、これらの量産化やほかの低燃費エンジンの開発を完了させたいとしている。ハイブリッド車とガソリン直噴式エンジン車については、まだ歴史が浅く、メーカーの公表データしかないので省略した。近々整理したい。

1997年度内の1年間で2倍に増えて2,000台を超え、上表に載せた資料の1994年の時点からは約5倍増となっている。

日本ガス協会は、1998年度の1年間でさらに3,000増加の計5,000台普及を目指している。普及が順調に進むだろうと思えるのは、都市ガス充てんスタンドの増設、生産体制の「改造」から「専用生産ライン」への移行、政府からの補助金交付の充実があるからだ。とくに民間企業の積極導入が進んでいる。

 いわゆるクリーンエネルギー自動車とよばれるのは、@、A、およびBに、従来から開発研究の続けられてきたC電気自動車、Dメタノール車、およびELPG車(ディーゼルトラック代替車)を加えたもののことである。また、世の中への普及がすぐそこまで来ているのが、燃料電池で走る自動車である。21世紀は燃料電池自動車の世紀となる公算が強い。

クリーンカーへの関心の高まりは温暖化防止会議効果≠フ一つともいえるだろう。


運輸部門のCO2排出量
 ここに環境庁が推計した、日本国内のCO2排出量の部門別内訳のデータがある(1994年度)。それによると、エネルギー消費に伴うCO2排出が92%を占めている。ほかに、石灰石の消費や廃棄物焼却などがある。エネルギー関連のCO2の排出源は、化石燃料を燃やして作る電気やガスの使用、自動車などだ。部門別内訳のデータからみると、産業、運輸、民生(家庭)、民生(事業所)、発電所の順になっている。

<日本国内でのCO2排出量の部門別内訳>
エネルギー関連工業プロセス廃棄物
91.7%(石灰石消費)(焼却等)
4.5%3.8%
産業
(工場等)
運輸民生 エネルギー転換
(発電所,製油所等)
(家庭)(事業所)
39.9%19.2%12.5%11.3%7.7%

 最近増加傾向にあるのが、運輸(自動車、船舶、鉄道等)と民生の両部門である。運輸部門からの排出量は、国内の排出量全体の20%を占めている。そのため環境庁は、運輸部門では低公害車の普及や共同運輸の実施、アイドリングストップ運動などを呼びかけている。民生部門では日常行動上のくふうが大きいといえるが、将来的に技術力の伴なう効果の望めそうなのは、やはり産業・運輸・エネルギー変換等の部門であろう。


海外のEV政策と研究開発プログラム
 電気自動車の生命はなんといっても電池(EV)であろう。現時点での課題と今後の改善策は次のように考えられている。

課題今後の改善策
一充電走行距離の延長
  • 電池エネルギー密度の向上
  • 車体の軽量化
     走行抵抗の低減
  • モータ・コントローラの効率向上
  • 車両性能の向上
  • 電池の出力密度向上
  • モータの高出力・小型・軽量化
  • 扱い易さの改善
  • 電池のメンテナンス・フリー化
  • 充電時間の短縮
  • 維持費の低減
  • 電池の長寿命化
  • 低価格化
  • 技術開発
  • 量産化

  •  国ごとに政策の違いが多少あり、力の入れ方によって特色も生じている。

    (出所:日本電動車両協会資料)
    EV普及台数普及政策EV実証試験研究開発支援
    日本2,300
  • 購入・リース助成
  • 取得税等減税
  • 充電スタンドの整備
  • 大阪市、愛知県での充電スタンド
    共同利用普及維持体制整備
    リチウム電池研究
    アメリカ2,000〜2,300
  • 州中心に活動
  • 州税減税
  • カーメーカーによるフリートテスト
    EVアメリカ
    電池共同開発
    フランス1,700
  • 2000年10万台
  • 購入助成
  • 付加価値税等の減税
  • EV専用駐車場の整備
  • ラ・ロッシェル等
    数カ所で実証試験
  • 電池の研究
  • ルノーへの開発補助金
    約1.3億フラン(1/4補助)
  • ドイツ4,400
  • 自動車税5年間無料
  • 地方自治体が推進
  • EV除く都市内交通規制
  •  リチウム電池研究
    燃料電池の開発
    イタリア400
  • 流通税5年間無税
  • バスによる小規模
    市街テスト
    電力会社によるテスト
    電池の研究
    電気自動車研究開発
    スウェーデン380
  • 購入リベート
  • 駐車料金の低減
  • ストックホルム等
    3ヶ所で実証試験
    電気駆動・急速充
    電システムの研究
    ハイブリッドの研究
    スイス2,000
  • 2010年までに全
    自動車の8%を
    目標にEV普及
     ↓
    2000年へ繰り上げ
  • 市街地における
    EVレンタル
    6村9ヶ所で実用
    メンデリシオ市で
    集中的実用化試験
    スイスEV製の
    安全/衝突試験
    電気自動車開発助成
    ベルギー 
  • CITELEC
  • ブラッセル等で実証試験
  • 充電スタンド使用した
     フリートテスト
  •  
    イギリス25,000
  • 道路税無税

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