有機ケイ素化合物の定義

有機ケイ素化合物とは、普通その分子の中に少なくとも1つケイ素-炭素結合を持つ有機化合物をいう。

総論

地球の表面に存在する元素の重量百分比を示したものはクラーク数と呼ばれている。このクラーク数では酸素が49.5%で第1位、ケイ素が25.8%で第2位を占め、第3位アルミニウムの7.56%との間には大きな差がある。ちなみに有機化合物を形成する炭素はわずか0.08%しか存在しない。しかし、これほど多く存在するケイ素であるが、その大部分が地殻中に岩石(SiO2)の形で存在しているため、合成原料として利用されることがあまりなかった。1944年、E.G. Rochowによって発見されたハロゲン化ケイ素の”直接合成法”を基盤にしたシリコーンの有利な工業化の成功が最近の著しい有機ケイ素化学の進歩の端緒である。今日、シリコーンの工業生産は世界のすべての主要国において実施され、生産量は年々増加の一途をたどっている。

ケイ素化合物と炭素化合物の類似点と相違点

ケイ素は周期律表第14族に属し、炭素の真下に位置するので、古くから炭素化合物に類似のケイ素化合物をつくろうとする試みが行われてきた。いくつかの点においてケイ素は、他のどんな元素よりも、炭素によく似ている。しかし、また、いくつかの点では炭素と非常に異なり、むしろゲルマニウムやスズのようなもっと金属性の高い元素に近い性質を示す。
炭素、ケイ素いずれにおいても価電子はs2p2である。したがって、普通の原子価はいずれも4で、四配位四面体構造の化合物を形成する。しかし、炭素の価電子はL殻に存在するが、ケイ素の価電子はM殻に所属する。そのため原子の大きさならびにイオン化エネルギー、電気陰性度などに明らかな違いが認められる。
  C(炭素) Si(ケイ素) Ge(ゲルマニウム) Sn(スズ)
イオン化エネルギー(Kcal/mol) 260 188 182 169
共有半径(Å) 0.772 1.176 1.225 1.405
M-M結合エネルギー(Kcal/mol) 82.6 46.4 38.2 39
電気陰性度 2.55 1.90 2.01 1.96
参考文献「有機ケイ素化合物の化学」熊田 誠・石川 満夫・山本 経二・玉尾皓平共著、化学同人