§1 力学的エネルギー基礎物理学T 第6講 「力学的エネルギー保存の法則」 その1《もう一つの運動の勢い》
基礎物理学T 第6講 「力学的エネルギー保存の法則」 その2《エネルギーの原理》
§2 熱力学の考え方
熱力学は、「系の分子論的な詳細に立ち入ることなく系を記述する」強力な理論科学である。熱力学という単語は、“熱の動き”という意味のギリシャ語に由来する“thermodynamics” から日本語訳された。この時間の目的は、熱の力学的エネルギーへの変換について学ぶための準備をすることである。熱力学の詳細は第7講でふれるが、そこでもあまり深入りはしない
【学問としての基盤】 熱力学の基礎は熱伝導とエネルギー保存の2点にある。熱力学は、熱機関(蒸気タービン、自動車エンジン、核融合炉など)や冷却装置やヒートポンプなどの基礎理論を与える。
水をかきまぜると、沸騰する。
茶わんの水から熱エネルギー
が逃げなかったとしたら ........
- 熱は熱いものから冷たいものへ伝わり、その逆は起こらないこと。
- エネルギーは保存すること(熱力学第1法則)。
水を攪拌すると(仕事をすると)、した仕事と同量のエネルギーが生じる。その一部は熱エネルギーとして水の温度を上げるのに使われるだろう。このことを実際に確かめるには、魔法瓶に半分ほど水を入れて水温を測ったのち蓋をしめ(10〜15℃程度がよい)、よく振って水を攪拌したのち水温を測ればよい。この一連の現象に熱力学第1法則≠ェかかわっている。
何らかの方法で物質系に外部から熱エネルギー Q が加えられ=A同時に系が外部に対して仕事 W をした≠ニき、その結果内部エネルギーとしてΔU が系にたくわえられ≠ト温度が上昇したとする。すると、熱力学第1法則は次のように表すことができる。
Q - W = ΔU
(左辺は系に入った量から出た量を引いた残り、右辺は系の中で増えた量)ただし、熱エネルギーは外部から系に入ってくる方向、仕事は系によって外部へなされる方向をそれぞれ正の向きと定義した。
熱の拡散が起こるからこそ内燃機関(熱機関)は焼けこげることがない。自動車のラジエーターは熱いエンジンから冷たい大気へ熱エネルギーを逃がす。地球をまわる無重量の宇宙船内でお湯を沸かすことはできない。対流が起きないので炎というものが出来ない。小さな重力でたとえ炎が出来ても、水の対流が起こりにくいので、容器の底のほうに水蒸気の泡が停滞し断熱層をつくる。カタストロフィックな大爆発を起こして危険だ。なお熱力学第 0 法則は、内燃機関に熱効率≠フ概念を付帯させる(後出)。
【絶対零度】 物体の状態には到達しうる下限がある。あらゆる気体は冷やされると体積が収縮する。気体の圧力を一定に保って温度を下げていくと、1度下げるごとに 0℃ における体積の 1/273 ずつ一定の割合で収縮していく(前ページのグラフを参照のこと)。それゆえ、273度下がったところで体積は 0 となり、そのときの圧力は 0 となる。(これは明らかに変である! )
この極限の温度は実際には -273.15 ℃ である。これを絶対零度、またはケルビン温度の零度といい、0 K≠ニ記して“ゼロケルビン”と読む。原子や分子がみずからの運動エネルギーをすべて失った状態である。
しかし実際のところでは量子論により、すべての原子が一様に動きを止めることは許されず、絶対零度でも零点エネルギー≠もって運動している。
さて、圧力が 0 でない一定値と仮定したうえでの圧力 0 は不合理であるが、実は温度が273度下がったときは、もとの気体は固体か液体に相変化している。また絶対零度に達しないまでも、低温側では一定割合で体積が減少する規則は成り立たなくなる。この部分は点線で表してある。
【熱力学の利便性と限界】 研究手段として優れた点と限界の両方を持ち合わせていることは、正しく把握しておかねばならない。
- いろいろなエネルギーの形態を区別する方法を教えてくれる。
- 熱力学第1法則により、エネルギー相互間の関係を理解することができる。
- 自然現象や工学的過程には、本来的に種々の制約や限界が存在することを、熱力学第2法則(後述)により理解出来る。
- 熱力学的な過程の中で発生する変化の速度(反応速度など)を予測することは出来ない。
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