第6講  力学的エネルギー保存の法則

(その1)もう一つの運動の勢い=@

 ガリレイは、斜面を下った球体がまた同じ高さまで登ることに注目しました。そして、上り坂を次第にゆるやかな斜面に変えていくと、球体はかなり遠く同じ高さになるまで進むことから、上り坂を完全に倒せば永遠の運動を続けるだろうと考えました。これはガリレイの《慣性の法則》として知られています。

力学的エネルギーは保存される

ガリレイが運動エネルギー≠熏lえていたかどうかは詮索しないにしても、今日私たちは“小球が同じ高さまで上がる”ことに《慣性》とはまた違った意味が含まれていることを推察できます。

 ガリレイやデカルトの運動の勢い≠ニいう基本概念がしっかりとした科学、実証科学のいしずえを築き始めたころ、この概念には2つの物理量の含まれていることがわかりました。その一つはこれまで考えてきた運動量≠ナす。

運動量≠ヘ、いまの私たちにとっては速度の1次に比例した量で速度と同じ向きをもつベクトル量である――単位質量当たりの運動量は速度である――とたやすく述べることが出来ますが、デカルトたちの深い思慮により初めて導かれた重要な物理量でした。

運動量は向きをもつ

そして対照的なもう一つの運動の勢い≠ヘ運動エネルギー≠ニいう速度の2次に関係した量です。運動エネルギー≠ノは向きというものがありません。

エネルギーには向きがない

このように運動物体のもっている“勢い”には2つの量があり、その第1が慣性≠表すもので、第2は運動エネルギー≠表すものです。


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