持続的発展   
B. 森林こそ守護神
ホームページメニュー概要説明トップページに戻るリンク情報前のページに戻るつづき

 「倒木更新」という言葉がある。亜寒帯を代表するエゾマツにも、温和な環境の屋久杉にも、時として一列にならぶ壮大な大木群を見ることがある。発芽した若い木の芽は、老いて倒れ苔むした倒木の上でこそ根を張ることができる。生と死のきびしさ、やさしさを教えてくれる言葉だ。

わが国には国土の約2割の国有林があり、国有林のうち木材生産以外の目的で管理されているのは46%である。一国民として環境保全に欠かせない森林の割合を守りたいと考えるが、他国民とて同様であろう。森林は国民共有の財産である。ここへきて、その思いは地球的規模の重大問題となっている。

森林は世界共有の財産だ!
 野鳥に限らず、森林は様々な生き物のすみかであり、生命の多様性をはぐくむ宝庫でもある。いうまでもなく人類もそこからは貴重な恩恵を受けている。森林の消滅は人類・生物の滅亡を意味する。

とくに熱帯林には、森林とともに生きる人々の生活の場という意義のほかに、温暖化をもたらす二酸化炭素を吸収するはたらきなど、地球全体にとってかけがえのない重要な役割がある。

いま熱帯林は南米アマゾン川流域、アフリカのコンゴ川流域、アジアのマレー半島、ボルネオ島、ニューギニア島・・・などに残るだけだ。伐採や焼失のあとでの回復は大変難しい。

1997年〜1998年、東南アジアや南アメリカでは、エルニーニョを原因とする現象がいろいろ起こった。

少雨のため木々が乾燥しきっている折から、大規模かつ長期にわたる森林火災が頻発したのも、いわゆるエルニーニョ現象の一つと考えられている。これら森林火災のなかには、農業や商業を目的とする焼畑など、人為的な原因によるものもあったが、多くは、たとえ間接的にせよ、地球温暖化と何らかの関係があったと考えられている。

 
日本でも数年前、降雨量のきわめて少なかった西日本で山火事が頻発した。

日本の木材輸入の6割までは北米やロシアなどの亜寒帯の針葉樹材である。針葉樹林も伐採からの回復の困難さで、おし迫っている危機は熱帯林にひけを取らない。私たちの木材消費については、大いに考える時だろう。

世界の産業用木材の半分以上は、西ヨーロッパ、アメリカ、日本など世界人口の1/5にも満たない人々が消費している。

 1960年から1990年の間に、森林消失の大部分は熱帯地方で起こり、消失の速さは加速していった。とくにアジアはその熱帯林被覆面積の約1/3を、またアフリカと中南米は各々のおよそ18%を失っている。この間、熱帯林の全面積は20%減少した。

 


それ以前、温帯地方の森林被覆は大きく破壊されていた(すでにヨーロッパの森林被覆は2/3が失われてしまい、残っている一次林は1%に満たない)。ただ、ヨーロッパと北米では二次林と植林地で埋め合わせされ、20世紀最後の四半期ごろからは安定に向かいつつある。しかし森林の質は大きな打撃を受けた。

 グリーンランドの氷床から採取した氷に含まれる気泡には、二酸化炭素、メタンなどの温室効果ガスをはじめとする微量気体が閉じ込められているので、その昔の濃度を知ることができる。

 CO2に次いで温暖化への寄与が高いガスには、次のものがある。

右グラフは「変貌する大気」(The Changing Atmosphere, by THOMAS E. GRAEDEL and PAUL J. GRUTZEN):別冊サイエンス96(日経サイエンス社,1990年9月)にある精密なデータを大まかな図に表したもの。

今後、温暖化効果が長時間持続する代替フロンHCFC(HFC、PFC)の使用量が増加すると見込まれている。すでにアメリカや日本での代替フロン生産量は膨大な量に上っている。代替フロンのなかには、炭酸ガスの何万倍という高い温室効果をもたらすものもある。代替フロンHFC、PFCの温室効果は同量のCO2と比較して、それぞれ1,300倍、6,500倍である。代替フロンを生産使用する者は責任をもって回収すべきだという主張には理があるわけだ。

 最近、南極上空でオゾン層が破壊されつづけて、いわゆるオゾンホールが観測されている。有害な紫外線から皮膚を守るオゾン層の役割はたいへん重要だ。人類は、オゾン層を破壊する原因物質と特定したフロンの使用をひかえ、そのかわりに代替フロンHCFCを使用した。しかし今度は代替フロンが温室効果の高いガスとして注目を集めている。さらに土壌殺菌剤として使用されてきた臭化メチルは、特定フロンよりも速くオゾン層を破壊する。アメリカ、イタリア、日本、......これは臭化メチルの消費量が多い国々だが、日本では生姜(しょうが)栽培のための土壌殺菌などに使用されてきた。生姜の生産農家では、臭化メチルが使えなくなれば生産量が落ちて安い輸入ものに負けてしまうと心配している。

<課題>

@ 人間活動、生産活動におけるエネルギー消費のあり方と地球温暖化との関係を、この問題に関する森林と海洋の役割を的確に押さえながら説明しなさい。

A もしも地球に海洋がなかったならば、あるいは森林が極端に減少してしまえば、どのような困ったことが起こると考えられますか。

B それを回避するのに役立つことで、あなたに出来ることがありますか。あるとすれば、どんなことですか。

C かつて火星にあった海は早くなくなり、他方、地球では何億年も海が存在しつづけている最大の理由は何ですか? 


ホームページメニュー概要説明トップページに戻るリンク情報前のページに戻るもう一度読みなおす次のページへ

Please let me know if you can contribute to this page. ご意見ご感想をお寄せ下さい。


[受講生の皆さんへ] [教養ゼミ] [ゼミと小論文] [特別実験・実習] [ゼミ形式による活動の記録]
[21世紀によせて] [生活文化のリサイクル] [環境・エネルギー資源] [持続的発展]