21世紀初頭には石油需要のひっ迫が予想される。あと50年で枯渇するという予測もある石油だ。石油だけに頼らないエネルギー政策が叫ばれるなか、石炭を液化する研究に期待が持たれている。原子力や電池が使えない場所で、石油の代わりに液化した石炭を使う。自動車や航空機など大量輸送機関を動かすのには不可欠となるだろう。石炭は250年はもつし、世界中に広く分布しているので、一部地域に偏在する石油より安定供給の期待がかかるのは当然である。石炭を液化させるまでのプロセスには1913年すでにドイツで成功している。石炭も石油も炭素と水素の化合物だが、石炭は分子量が大きく水素の割合が少ないため、通常は固体となっているのだ。そこに触媒と水素、さらに熱と圧力とを加えると、高分子の結合が断ち切られて液体となる。固体から液体にするまでには、状態を高温、高圧に保つ大掛かりな装置が必要で、生産的ランニングコストが高いという問題がある。現在のところ、コストではとても石油に太刀打ちできない。今のところ、石炭と触媒の接触効率を向上させる研究が進められている。一つひとつの分子レベルで接触させるようにすれば効率は上がる。石油が枯渇しかけてから研究を始めても間に合わない。
ただし液体燃料にこだわり過ぎて、天然ガスや水素ガスなど気体燃料の可能性を忘れないでほしい。天然ガスはロシア領サハリンから新潟まで、海底パイプラインを引いてくる方式を模索中であり、天然ガスなどの炭化水素から取り出せる水素ガスも、燃料電池などの燃料として十分便利な気体燃料となり得るのである。
