| ◆ ◆ ◆ | 生活とエネルギー | ◆ ◆ ◆ |
| B. エネルギー資源 |
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何気なく日常生活を送っている限り、地球の石油が枯渇するなどとはとても思えない。枯渇は生活時間とはスケールが異なる現象だからだ。生活時間の範囲内では、せいぜい価格競争や収益低迷の話題が耳に入る程度だ。しかし、製油会社の企業行動をもう少し長い時間スケールで追っていくと、そこには、《売電事業への参入》とか《精製コストの低い製油所》など、収益の観点に付随してではあるがエネルギー節約との関係がようやく見えてくる。このページではエネルギー資源の消費の状況について考える。
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石油、石炭、天然ガス、水力、風力、地熱や原子力エネルギーを一次エネルギーという。これに対して、加工や変換をほどこして得られる電気、ガソリン、都市ガスなどを二次エネルギーという。一次エネルギーのうち、地熱や原子力は太陽光の影響とは無関係な地下エネルギー資源である。一方、同じ地下資源でも、石油、石炭、天然ガスは化石燃料とよばれ、元をたどれば太陽光のエネルギーに由来している。水力、風力なども太陽光のエネルギーが変換されたものである。
18世紀における蒸気機関の発明は、それまでの牛馬やラクダなどの動物のエネルギーや、水力、風力などの自然のエネルギーに依存していた文明を一変させた。
日本の現在の主要なエネルギー資源は石油、石炭、天然ガスなどの化石燃料、ウランなどの核物質および水力などの自然エネルギー資源である。日本の電力のエネルギー源を割合でみると、原子力、天然ガス、石油、石炭および水力の順になる(比率はだいたい3弱:2強:2:2弱:1強だ)。
| 原油(百万kl) | 石炭(億t) | 天然ガス(兆m3) | ウラン(千t) | |
| 1991年の生産量 | 35 | 36 | 2.2 | 32 |
| 推定埋蔵量 | 1585 | 5214 | 138 | 2126 |
エネルギー資源のなかで供給率の第1位は石油である。わが国は一次エネルギー総供給量の60%弱を石油に依存し、そのほとんどを輸入にたよる。高供給率のゆえに、その価格の変動がつねに大きな関心事となってきた。
太陽光、風力、地熱などの自然エネルギーは 地球の温暖化もエネルギー資源の問題と密接な関係にある。
石油は1859年にアメリカのペンシルバニア州ではじめて掘削された。エネルギーの担い手がまだ薪と石炭の時代であった。
石油の採掘が軌道に乗り始めた1870年で、一人当たりのエネルギー消費量を世界平均すると、石油換算で1日0.4gだった。それが、第二次世界大戦直後の1950年には2.3g、さらに1990年には4.8gとなっている。
エネルギー消費量は、技術の進歩とあいまって増加してきたが、もう一つの重要な因子は人口増加である。世界の人口とエネルギー消費量は、1870年=約15億人(エネルギー消費量=1.8億t)、1950年=25億人(同17.5億t)、1970年=(同49億t)、1990年=(80.3億t)と推移してきた。
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はじめ、石油の用途は工業用、家庭暖房用の燃料であった。1896年ヘンリー・フォードによる自動車の発明、1903年ライト兄弟による飛行機の成功をきっかけに、動力用燃料としても広く利用されるようになった。さらに石油化学工業の発展は、石油の原材料としての価値をも高めることとなった。今日、私たちの身の回りにある衣料品、医薬品、化粧品、電化製品などは、ほとんどが石油で造られている。
より快適な生活を保障しながら、電気と石油は、社会におけるエネルギーの大量消費化を加速していった。そして私たちは、安価に豊富に得られるエネルギーによって、もはやエネルギーに依存しないではおれない社会を築いてしまったのである。
1970年代には、2度にわたる石油危機が世界のエネルギー消費を一時的に抑える働きをした。しかし1985年におきた石油価格の暴落は、世界のエネルギー消費に拍車をかけた。
石油の可採年数は中東で約100年だが、アメリカや旧ソ連では約10年しかない。ロシアの場合は、長期にわたる政治的不安要因のため採掘条件が整わず、推測される埋蔵量はあっても確実な埋蔵量や可採年数を大きくはじくことはできない。世界全体で確認されている埋蔵量の2/3が中東地域に集中偏在している。
世界全体での可採年数は30〜40年と見積もられている。このままでは、21世紀にかけて全世界がエネルギーを中東地域に依存しなくてはならなくなるばかりか、2030年ごろには、液体化石燃料や核分裂性ウランの枯渇にもみまわれる。
すでに、石油や石炭などの化石エネルギー資源の利用方法を考え直さなければならない時期にきている。消費者にとって物価の値下がりは大変うれしいことである。岡山県下のガソリン・スタンドでは、過当競争の影響から、わずか3ヶ月でガソリン1リットルの値段が110円から78円へと値を下げた。一時は県外からも客がやってきたという(1998年5月上旬まで)。一方このような大幅な値崩れは、エネルギー資源の大切さを忘れさせる危険性をはらんでいることも指摘された。
わが国では、石油代替エネルギー源として放射性廃棄物の問題がない核融合炉の開発、天然ガスや石炭の有効利用、地球温暖化対策を考慮した原子力や自然エネルギーなどが検討されてきた。エネルギーの問題は、世界の経済や地球の将来を左右することがらである。エネルギー利用と深いつながりをもつ地球温暖化問題にしても、世界の国々と協力・協調して考えていく必要がある。
原油の生産を1999年から開始する計画の「サハリンU」という事業が、日本の2商事会社とアメリカのメジャーとを含めた計5社によって取り組まれている。このような大エネルギー開発事業がロシアやアジアの国を巻き込む形で進められる背景には、2000年〜2010年ころのアジア地域におけるエネルギー需要の倍増予測がある。日本はロシアのAPECへの参加を支持した。サハリンUに対しては日本輸出入銀行の多額の融資がつけられている。石油の供給元を中東地域に大きく依存している現状を、これ以上に不均衡な状態にすることには当然不安もある。さらに、中国などの途上国もやがて石油供給国から需要国へと様変わりしそうである。
1994年現在、日本で使われているエネルギー資源の内訳はとなっている。括弧の中の数字は、一次エネルギー総供給量に占める割合(%)と原油換算量(億キロワット)だ。また埋蔵量は全世界の総量を示している。なお、ここで新エネルギーというのは人為的に利用される太陽エネルギーやバイオマス・エネルギー(エチルアルコール、木材燃料や木炭)などをさす。
- 石油(57%,3.3億kW)
- 石炭(16%,1.0億kW) ......... 可採埋蔵量1兆32億t(1995年)
- 天然ガス(11%,0.6億kW) ......確認埋蔵量140兆m3(1996年1月)
- 原子力(11%,0.7億kW)
- 水力・地熱など(3%,0.2億kW)
- 新エネルギー(1%,0.1億kW)
上に挙げた日本での消費資源のなかで、地球誕生からのち太陽エネルギーとまったく関わりを持ってこなかった大規模なものは原子力(ほかに地熱と、天然ガスや新エネルギーの一部が加わる)だけである。他はすべて、長いあいだに太陽のした仕事が何らかの位置エネルギーに変換され、蓄積されたもの。石油の成因については何通りかの説明がなされているが、有機成因説がもっとも有力な説とされる。石炭の起源が植物だということははっきりしている。
石油と石炭と天然ガスは、気の遠くなるような長い年月をかけて、化学的な位置エネルギーとして蓄積された。一方、水力は太陽が数日から数ヶ月かけて大気(水)循環のかたちでした仕事が重力の位置エネルギーとして蓄えられたものだ。
海や陸にある水分は、太陽の光と熱のする“蒸発”という仕事によって位置エネルギーに変換される。蒸発に必要なエネルギーの規模は、たとえば国土全体が降水量1mmの雨にみまわれたとした時、1人あたりの水の量はドラム缶にして16本に相当することからも想像できるだろう。
わが国で消費される総エネルギー量は、原油換算量で約5.8億kl、二酸化炭素の排出総量は炭素換算量で約3.4億トンである。これは1994年のデータだが、いずれも年々増加していく傾向がある。
〔問い〕空に浮かぶ雲は水蒸気(気相)が凝集(相転換)して水滴(液相)になったものだが、その大きさは雨として降ってくるには小さすぎる。大きさの違いを理解しやすくするために、次のような《たとえ》も便利かと思う。つまり雲の水滴と雨粒との大きさの比較としては、大体そら豆とタイヤほどの違いがあると言えばおわかりだろうか。
雲はなぜ落ちてこないのだろうか。地上の水分が雲に変えられ、また降雨となるいわゆる水の循環は環境にとってどのようなメリットがあるのだろうか。
地球をとりまく二酸化炭素など、いわゆる温室効果ガスの量が増加し続けている。そのため将来の地球の平均気温は現在よりも上昇し、日常生活に大きな影響が出る―と予測されている。
「持続的開発」ということばで象徴されるように、私たちは化石エネルギー燃料の浪費行為により世代間での不平等を生じないためのコンセンサスを持とうとしている。世代間だけではなく、すでに先進国と途上国との間では大きな不平等的行為が行われてしまった。このことでは問題はみじんも解決されておらず、協議はいつも先送りされている。
私たち国民の間でも悲観的な人、楽観的な人、無関心な人、関心のある人、などなど、そんなこんなで考え方に違いがあるのは否めない。でも、太陽エネルギーや自然エネルギーには楽しいことを連想させる夢があるのも事実ではないだろうか。これらのことばは、最大公約数的な共感を呼び起こしやすい響きをもっているのかもしれない。
*詳しいことを知りたい人は、以下の文献などを参考にするとよい:
*エネルギー・未来からの警鐘(通商産業調査会出版部,1997年2月) *産業と地球環境―循環型経済社会をめざして(産業技術会議, 〃 ) *日本のエネルギー開発(日本科学技術振興協会出版部,1996年5月) *知っていますか『石油の話』 第5版 (化学工業日報社,1997年2月) *新エネルギー開発利用実態調査報告書 総合編(財団法人 新エネルギー財団,1997年9月) *地球温暖化を防止するエネルギー戦略(林智ほか著,実教出版,環境叢書シリーズ9,1997年5月)





