生活とエネルギー  
D. 自然エネルギー
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自然エネルギーといえば、地熱エネルギーなど一部を除き大部分は太陽のエネルギーがかたちを変えたものである。

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 自然エネルギー普及を政策上、真正面から強力に押し進める意義はたいへん大きい。その意義は、第1に地球温暖化対策をはじめとする環境保全を推進すること、第2には枯渇資源への過度の依存を回避して、循環型の国産エネルギーを確保すること、第3に、雇用の創出その他の経済波及効果によって地域社会を活性化すること、などなどである。しかし、残念ながら日本は自然エネルギー普及途上国なのである。この現状をどのようにとらえ、何をどのようにしたら良いのか、私たちなりに答えを出してみようではないか。

 植物というのは実に巧妙にできている。広葉樹の葉っぱどうしは、互いに重なり合わないように上手に並ぶ。まるで自らの意志を持って、太陽光のエネルギーを効率よく受け止めようとしているかのようだ。

 自然エネルギーの意味は、自然界にあるエネルギーというだけではない。つくられてから利用されるまでの時間・空間のスケールが人間の生活範囲を大きく超えない、つまりあらわ≠ノ存在するエネルギーという意味に考えたい。

たとえば地球で太陽光を受けることにより生じた熱エネルギー、自然界に引き起こされた大気や水の流れの力学的エネルギー、または太陽光の放射エネルギーそのものなどのように自然界にあらわ≠ノ存在するエネルギーで、太陽熱温水器や発電設備ですぐに利用できるエネルギーのことである。

 太陽光・太陽熱、水力、風力、潮力、海流、地熱など(水力と風力は、元をただせば太陽エネルギーである)

バイオマスエネルギーとして利用されるまでに、樹木や草木は、太陽光エネルギーを使って大気中の炭素を組織に取り込む(光合成、炭酸同化作用)。「水」と「二酸化炭素」から「酸素」と「でんぷん」を生成する化学反応を起こす、ともいえる。

化学(的)エネルギーとして利用される、つまり燃料等に利用されて、そのとき炭素が二酸化炭素に形を変えたのち再び樹木や草木に戻っていくサイクルの周期は、人間の生活時間ないしは寿命のタイムスパンにおさまり得る。炭素という物質の循環は、われわれの目の届くところで、一つのエネルギーサイクルを展開している。

とはいえ、樹木を使う場合には使った分量を植林し、森林を回復する計画的措置が必要条件となる。日々減少していく熱帯林では、この肝心の原則が守られていない。

核エネルギー(質量エネルギー)や「力学的エネルギー」や「熱エネルギー」などとともに、「化学(的)エネルギー」は別の概念階層をも形成していることが上記の表現からもわかると思うので注意する。

地球温暖化防止のために、人工的に炭素を固定する効率のよい技術を開発するには(いまのところ実用の見通しは立っていないが)、短期間に効率よく炭素を取り込んで化学エネルギーとして蓄えることが技術的要請の中心になる。人類が、いったん地球を捨てて他の天体にいき、化石燃料が再生されるのを待って、何千万年かのちに地球に帰ってくるというダイソレタ計画に運命をまかせるのでなければ、である。


「風力発電」や「太陽光発電」はそれ自体、二酸化炭素を排出しない、いわゆるクリーンな自然エネルギー生産方式だ。

 
 
風力発電による出力(1995年度末現在), 単位は
メガワット(MW). WINDPOWER MONTHLY(Jun'96)
とNEF調査資料から.
風力発電に基づく電力は、1995年実績で米国が世界全体の約35%を占め(176万kW)、次にドイツ(114万kW)、デンマーク(59万kW)、インド(56万kW)、........、日本(1.2万kW)、........という状況だった("Wind Power Monthly", Jun 1996, Denmark)。

しかし風力発電の普及に関するデータは半年で順位が入れ替わるほど、実にめまぐるしく変化している。上記の1996年資料では、もはや規模や順位の参考にはならない。ドイツでは1998年末までに300万キロワット近い風力発電機が設置され、世界最大の風車大国となっているref.1)。 その成功を支えた政策のポイントは、

である。これらの条件は、自然エネルギー利用の事業を興しやすくし、買い取る側の負担を軽減し、かつ地域社会の活性化も促進したといわれる。

日本には優秀な風力発電装置を生産し輸出する企業はあるが、国内での普及は大変おくれている。その実態は、1998年末現在で2万キロワット規模にようやく達した(デンマークの50分の1、ドイツの150分の1)、自然エネルギー普及途上国だと言って良い。ref.2)

風力発電所の立地条件は、

などである。しかし、これは設置後の国産エネルギー確保、地域活性化や経済効果、そして何より地球温暖化対策など自然環境保全の効果を考慮していない、たいへん控えめな条件である。もしも政府自体が、設置の効果をこれくらい軽く見積もっていたとすれば、おそらく導入時の補助という程度の軽微な施策に留まるのではないだろうか。

 広く世界に目を向けると、水波のエネルギーを電力に変換する水波発電、内海と外洋の水位差を利用した潮汐発電、地下マグマの熱を利用した地熱発電なども実用に供されている。とくに火山国日本では地熱発電の研究が進んでいる。

通商産業省の調査資料で風力発電の発電コストの推移を見ると、ここ数年来コストは単調に減少しつつあり、1995年現在では18円/kWhを切っている。また、住宅用太陽光発電システムの市場価格は、生産企業1社あたりの生産量の増加とともに、指数関数的に低下することが報告されている(太陽光発電懇話会調査等による)。ドイツやデンマークの政府は、自然エネルギーで生産した電力の採算がとれるように売電価格を設定している。自然エネルギーの生産者と消費者は、技術開発の進展に見合った、制度面での強力な支援を望んでいる。


化石エネルギーといえば、石油や石炭や天然ガスなどのいわゆる化石エネルギー資源のもっているエネルギーを指す。これらのエネルギーは、自然エネルギー(太陽エネルギー)が仕事(大気中から二酸化炭素を取り出し、生物組織として固定する仕事)をして蓄えたもので、たしかに自然界に存在しているけれども、それには人間の一生の届く時間をはるかに超えて有史以前からの年月を要するので、化石エネルギーと呼ばれる。植物が石炭などのエネルギー資源になるのには、何万年という長い歳月を必要とした。

よく知られているように、化石エネルギー資源のなかの“炭素”は大気中の“酸素”と結合することでエネルギーを解放する。そのとき生成されて、大気や海洋のなかに出ていった“二酸化炭素”は、一部だけが“炭素”として植物や珊瑚などの組織体に固定され、残りは大気中および海洋中に蓄積される。

 このうち、地球温暖化にもっとも大きな影響を及ぼす“しくみ”というのは、つまり、こういうことである。地表から放射されて宇宙へ向かう“赤外線”は、地球圏の余剰エネルギーを“放射(または輻射)”というやり方で減じるのに役立っている。(「対流」と「伝導」と「放射」の3つ過程で熱が伝えられるのは、みんなよく知っているよね。)

ところが“赤外線”は、大気中の二酸化炭素分子にちょうど吸収されやすい波長(または振動数)をもっている。CO2分子が赤外線を吸収すると、CO2分子はある意味で“励起状態”に押し上げられて、内部にエネルギーを蓄える。そのような“励起状態”にあるCO2分子は、ふたたび赤外線を放射してエネルギー的に低いもとの状態に戻るが、そのとき放射された赤外線が地球圏の外に達するまでに、別の二酸化炭素分子に吸収されると、ふたたびエネルギーが地球圏内に押しとどめられてしまう、というわけだ。

解説・参考文献等

  1. ドイツでの風力発電機のほとんど大部分は、1990年代の法律制定で、自然エネルギーからの電気を電力会社に買い取らせることが義務づけられた後で設置された。デンマークでも100万キロワット以上を設置している(1998年末現在)。
  2. 日本でもドイツに1年遅れて、電力会社が自主的に電力を買う制度はできたが、参入企業に対する制約条件にはまだ強いものがある。これ以前に、電力を託送する制度もできていたが、地域独占をどの程度残すかという問題が未解決である。また、これらの法律または政策は、自然エネルギーに配慮したものにはなっていない。ドイツのような「自然エネルギー促進法」とでもいうべき法律はまだ存在しない(1999年3月現在)。


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