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| F. 熱力学が教えてくれること |
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たとえば発電において、普通の火力発電では燃料を燃やして発生させた熱を利用する。このような燃焼エネルギーを利用する方法は、二酸化炭素を排出するという点では古代からの焚き火(たきび)と変わりはない。古いやり方の火力発電や原子力発電は、排熱を冷暖房や給湯に利用しないで捨てるからだ。しかも送電ロスまで考慮すると、エネルギー効率は約35%以下と低い。★あらゆる工業の中で化学工業はなぜエネルギーをたくさん消費するのか?しかし、燃料電池を使って電気化学的に発電 する方式がある。燃料が燃やされないので(反応は酸化でも、普通の燃焼とはちがう)大気を汚さないというだけではない。発電効率は比べものにならないほど高いのである ― 約40〜60% ―。
それだけではない。さらに廃熱を利用するコジェネレーションにすれば、熱効率は80%程度にまで引き上げることができる。燃料電池の特徴は次の通りだ。
- 発電規模によらず、高効率であること。
- 環境への影響が小さいこと。
- 全自動運転が可能であること。
この燃料電池には将来、大・中規模の発電施設としての利用の道が開かれている。小規模発電設備や自動車のエンジン部分にも標準利用される可能性が出てきた。何でも燃やすのが好きな国民といわれないうちに、燃やさない文化を定着させたいものではある。
大量の物質の化学反応をいくつかの段階に分けて順次起こさせる化学工業では、各反応段階での適温が異なるため、これら複数のプロセスごとに加熱したり、冷却したりの人為的操作を経なければならない。このときエネルギーの無駄を省く方法として考えられるのは、化学反応で発生する熱を他で有効に利用するとか、熱がなるべく拡散しないで素早く反応が行われる触媒を開発するなどである。《自然にまかせると、熱は高温部から低温部へと伝わる》というのが基本的な法則だ。
化学工業の多くの過程でするように、エネルギーを熱に変えて使うということは、人類にとっての必須行為であるが、余剰熱を再び熱以外のエネルギーのかたちに100%戻すことは出来ない。それというのも、《熱を仕事やエネルギー(力学的エネルギーや電気エネルギー)に変えるとき、熱の一部が周囲へ拡散してしまうのは避けられない》という重要な法則があるからだ。したがって、仕事やエネルギーをいったん熱という形に変えたなら、拡散してしまうまえに、熱のままで多様な用途に使用するのが一番効率がよい。
たとえば、プロセス(1)では利用温度700〜1,000℃(熱効率30%)、プロセス(2)では利用温度400〜700℃(熱効率40%)のそれぞれの化学反応が同程度の熱量で処理されているプラントを想像しよう。もしも両プロセスが別々に行われると、エネルギー効率は
2/{(1/30)+(1/40)}=34%
そこそこである。しかし、プロセス(1)の廃熱がそっくりプロセス(2)で利用できれば、熱効率は60%と飛躍的に高くなる。これは熱という「エネルギーの段階的利用システム 」の一種である。
★だから、熱のカスケード利用 や熱電併給(コ-ジェネレーション)システムが有意義なのである―
エネルギー利用の効率化をすすめ、コストの低減をはかる方法として、「1つのエネルギー源から、電気と熱など2つ以上の有効な二次エネルギーを同時につくって供給するシステム」がある。熱電併給(コ-ジェネレーション)システムという。すぐに利用できない熱があれば、電気エネルギーや水素エネルギーなどへの変換・蓄積をするのが次にとられるベターな方法である。一般に、熱は‘高温物体’から‘低温物体’へと流れるから(熱力学第0法則)、熱エネルギーをカスケード的に(温度の高い順々に)効率よく利用する 方法が優れているのは当然だろう。
エネルギー効率をアップする方法にはいろいろある。環境保全のためにも、現状では都市ガスや石油や薪炭などによる発電に、発電に伴う熱を電力と併せて供給するシステム(熱電併給) を組み込むのがベターだ。発電のために使い切れない余剰熱を暖房や温水プールや給湯などに利用するのが熱電併給(コジェネレーション)システムだ。コジェネレーションのエネルギー効率は約70〜80%なので、発電効率の高い燃料電池を組み合せると、さらに有利になる。






