エネルギー散逸開放系 地球   
B. 太陽エネルギーの循環
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栗畑  地球上に降り注ぐ太陽からの放射エネルギーは、気候の変動など様々な自然現象を引き起こすばかりか、動植物生存の源そのものといってよい。この放射(「光」や「電磁波」で別称、輻射ともいう)エネルギーの流れは、地球圏内に入ってから一定のサイクルを形成するので、エネルギー循環ともよばれている。放射のほかに太陽から地球に送り届けられてくるものとして「太陽風」があるが、これについてはまた別のところで説明したい。

 地球に照射している太陽エネルギーは、電力に換算して173,000TWである〔1T(テラ)=1012〕。これを大気圏外で、太陽光線に垂直な平面で受け止めたとすると、その電力(電気的な仕事率)は

になる。これを太陽定数という。ただし、この“定数”ということばに厳密な普遍量、不変量、または恒量の意味はないので注意しよう。なぜなら、太陽の中心部分で“燃料”の水素は核融合反応によって時々刻々とヘリウムに変換されているので、何億年という長い年月でみれば太陽の“出力”は確実に減少していくからだ。

 ヒトの身体表面からは100Wほどの熱・エネルギーが出ているのを知っているか?太陽定数は、およそ半畳ほどの広さに寄り集まった10人のヒトの体表から放射される赤外線エネルギーと熱エネルギー総量の時間的・空間的密度に匹敵する。発電のためのエネルギー密度としては稀薄と受け止められているが、これを寄せ集めると膨大なエネルギー量になる。

 さて、光、音、地震などの波動にはみなエネルギーの出所(でどころ)、波源がある。そこから放出される波のエネルギーの“濃さ”を定義して、光源の光度[cd(カンデラ)]、音源の強さ[W(ワット)]、震源の強さ(規模)[M(マグニチュード)]を表す。かっこ[ ]の中は各慣用単位である。一方、これらとは別に観測者が受け止めるエネルギーの強さが定義される。こちらは、それぞれ、明るさを照度[lx(ルクス)]、騒がしさの程度を[phon(フォン)]、ゆれ(と被害)の程度を[震度]で表す。

光について2、3の説明を加えると、まず「光度」の一般的な意味は次のようなものである。

    (1). 「光度」=「光のエネルギー」÷(「時間」・「立体角」)

ここで「立体角」というのは、3次元空間において波源を基点に半径r の球面上の面積S を眺望した望み角、または視角Ω [sr(ステラジアン)]で、

    (2). ΩS /4πr 2

と表される。全立体角は4π[sr(ステラジアン)]である(全平面角は2π[rad(ラジアン)=360°]である)。

通常は目で感じた明るさに「照度」が合うように、ヒトの光に対する感度を考慮して、振動数が540×1012Hzの単色可視光を用いて、単位立体角当たりの放出エネルギーが1/683ワット(ジュール毎秒)であるときを1カンデラと約束する。

    (3). 1 cd = (1/683)Wsr-1

これが「光度」の実用単位である。他方、光源から離れた場所での明るさ「照度」の単位1ルクスは、上記(1)の関係「光のエネルギー」/「時間」=「光度」・「立体角」を考慮すれば、

    (4). 1 lx = 1 cdsrm-2

となることが容易に理解できるであろう。


このような太陽エネルギーのうち

などして宇宙へ向かって散逸する。なお、宇宙飛行士が『地球は青かった』と公転軌道上から印象を述べたわけは、こうした散乱光の大部分が短波長成分だったからだ。しかし、太陽エネルギーのうち となったのち、赤外線(長波長電磁波)の放射により、宇宙に放出される。


使われたのち、赤外線放射(長波長)される。


また割合としては低率だが、

変換されて、地球圏外へ赤外線放射される。


光合成のはたらきによって植物中に貯えられたのち、

はもっと小さいけれど、見過ごすわけにはいかない。


そのほか、


も最終的に赤外線放射として宇宙へ出ていく。太陽から地球にやってくる放射のエネルギーは、こうして最終的に再び放射によって宇宙に戻される。なお、これに地球内部での放射性同位元素の原子核崩壊によって生じる地熱エネルギー、およそ32TW(0.018%)の赤外線放射が加わる。

*『話題源物理』伊平保夫編(とうほう)p.107より「地球のまわりのエネルギーの流れ」(小出昭一郎)を参照*


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