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 (続) 21世紀によせて 
B. エネルギー消費と環境リスク

考えたい「燃やす」文化  現代社会において最も便利なものは電気エネルギーだ。日本ではエネルギーは消費すればするほど地球温暖化を助長する構造になっているが、電力とて例外ではない。エネルギー消費量が二酸化炭素の排出量にほぼ正比例しているのだ。自然エネルギーの割合が高くない多くの国で大体そういう状況にある。

日本の総需要電力を太陽エネルギーの降り注ぐ面積で見積もると、ほぼ山の手線の内側の土地全部くらいになる。
電気エネルギーメモをとろう  新聞広告によると、JR東日本は電車を走らせるための電気の60%を自前の火力発電所でまかなっている。その火力発電所から1990年度に排出したCO2は約160万トンで、同社はそれを2001年までに10%減らす方針だという。

同社ではまた、太陽光による発電システムの開発や省エネルギーにも努め、1994年から2001年までの間の省エネルギー10%の達成目標を掲げている。

 ところで“待機電力”というのを知っていると思う。ふつう昼間は仕事あるいは私用の電話やファックスが届くことに配慮して、受話器のスイッチは入れたままである。

夜だって同様だろう。日本で夜間の待機電力は1戸あたり100〜200W(ワット)というから、不要な時間帯には電源スイッチの切れる製品が望ましい。そのほかにも一戸の家で待機している電気製品はたくさんあるはずだ。

 いや電気製品だけではない。灯油式ポイラーだって便利さのゆえに種火を消さないのが普通だろう。あれやこれやで、化石燃料の燃焼により世界で1日に65メガトンの二酸化炭素が排出されている(1メガ=100万)。

 家庭ごみの量は家族の人数に大きく依存する(図「家族構成人数とごみ排出量との関係」参照)。平均してみると家族が少ないほど無駄なことをしがちなようだ。買い物で使う包装類の量も、家族数に関係しているのかもしれない。

(図)家族構成人数とごみ排出量との関係

したがって、日本社会のごみの多さは核家族化と関係があるかもしれない。本当にそうなのかどうかは、あなたが調べる課題としておきたいと思う。

 生ごみ処理機が急速に普及し始めている。ごみ処理に頭を痛める地方自治体のなかには、家庭での購入に費用の2/3を補助するところもある。処理法には乾燥式とバイオ式の2通りがあり、合わせて現在およそ10万台/年の市場だが、2001年ごろには100万台/年が見込まれる。

乾燥式で処理するとなると電力消費が気になるところだが、肥料などに再利用されれば、結果的に二酸化炭素の排出は焼却処理よりも押さえられる。

機械を使わず生ごみをたい肥に変える「環境カウンセラー」の簡単な方法が幾つか発表されている。詳細は新聞*)をご覧いただくとして、そのうちの一つでは、乾燥したたい肥30gと30g入り以上の樹脂バケツ3個(@AB)を用意する。@にたい肥10gを敷き、よく水を切った生ごみを入れ、たい肥を加えて軽くかき混ぜ、たい肥をかぶせる。使うたい肥とごみはほぼ同量。時々かき混ぜて空気を入れ、@がいっぱいになったらAに移して熟成させ、プランターなどで乾燥させ、Bで貯蔵するというもの。ちなみに私は、何回かに1回ぐらいの生ごみを畑に掘った穴に埋めている。ついつい便利さのゆえに紙屑と一緒にして、市の可燃ごみ回収に出しがちである。
*引用記事 毎日新聞 家庭欄 1998年2月20日(金) p.13
(なお同様の記事は、いずれの日刊紙でも時おり見かける。)

生ごみは焼却しなくても、腐敗することで温室効果ガスを出すが、焼却しない分だけ大気を汚さなくてすむし、処理に困るダイオキシンなどの有害化学物質を含む焼却灰も出ない。家庭などの一般ごみから生ごみを分別し発酵処理して堆肥化する。そんな生ごみ処理工場がある。

エネルギー資源の観点からも、単に燃やして捨てるのではなく、燃焼熱をより有効に利用することが重要だ。また焼却の際その他の環境負荷を与えないこともポイントになる。

 暮らしの中でどれほどCO2を排出しているのだろうか。グラフは1世帯あたりの、家庭生活におけるエネルギー使用によるCO2排出量(年間)である。

《1世帯あたりのCO2排出量(年間)》
1世帯あたりの二酸化炭素排出量
1世帯あたりの二酸化炭素排出量

合計値に世帯数を掛け合わせると、全国の家庭からの排出量が求まる。世帯数約4千3百8十万とすると、これは(年間)4千2百万tである(出典:平成9年度版環境白書総説)。

<<1>> 次の問題について論ぜよ。
  1. 地球の大気の状況を簡潔に述べなさい。
  2. 地球温暖化がなぜ起きるか? それが人類にとってどのような結果をもたらすのか? それとも楽観できる要素もあるのかどうか、結局はどのように結論づけるかまとめなさい。
  3. 経済、エネルギー、および環境は、3つを並び立たせるのが難しいとされる。この三つどもえの問題『3Eのトリレンマ』について簡単に説明し、この問題の解決の糸口となるアイデアを提案しなさい。
<<2>> 次の問題について論ぜよ。
  1. 化学的にみて、生ごみから石炭に近いエネルギー変換効率をもつ燃料が生成できるのは、どういうわけか。
  2. 生ごみが自然環境で腐敗する化学反応は?
  3. 環境に与える負荷の少ない生ごみ処理案をレポートせよ。個人レベルでは、毎日新聞1998年2月20日(金)p.13家庭欄「家の生ごみ我が家で処理」その他、書籍類等を参照してもよい。また、非個人レベルでも、自治体や企業、あるいは君のまわりで取り組まれている実践例をもとに。

 ところで、君は地球に近い軌道を回る金星に大気があるのを知っているか?*1)金星にも大気があり、そこには二酸化炭素のほか酸素や水蒸気や窒素もある。


[グラフ] 金星の大気組成
地球と大きく異なるのは二酸化
炭素の割合が非常に高く、猛烈な
温室効果が起きていることだ。
 金星、地球、火星の比較(理科年表1997)
<大気組成(体積%)>金星地球火星 
アルゴン Ar0.00190.931.6
窒素 N23.4782.7
酸素 O20.0069210.13
二酸化炭素 CO2960.03295
水 H2O0.141〜2.80.03
--------------------
<物理的環境>   
太陽〜平均距離(106km)107149277
質量(1020t)48.759.86.4
表面大気圧(bar)9010.006
有効温度(℃)-3322-23
表面温度(℃)46215-60
 

 金星の大気に現在も二酸化炭素が多いのは、太陽に近く高温のため液体の水が存在しないことが関係している。火星では反対に水は固体となって二酸化炭素を取り込めなくなった。地球が現在の自然環境にたどりつくには、それなりの歴史が必要であった。


<ちょっと休憩>

地球上の2点から太陽の特定点の方向を精密に測り、地球から太陽までの距離(長半径)は1天文単位=1.496×1011mとわかっている。太陽光が地球に到着するまでに8分20秒かかる。光速は何m/sか。


 地球温暖化が農業等にもたらす例を取り上げよう。平均気温が上がると、世界の広大な凍結地帯を農地化できる利点がある*2)。ただし、安全な環境変化というのは極めて緩慢な変化のことである。省エネルギー対策と森林面積の増加政策を急ぐ必要がある。後者については地球的規模での見通しはまだ立っているとは言えない。さらに良くないことには、温暖化によって低緯度地域では病害虫が増え、不作に転じる作物も増えると予想される。好ましいことより歓迎したくないことのほうが圧倒的に多い。

その他どんな出来事が待ち受けているのか、農業以外についても調べるのはあなたの課題である。

(参考文献)*1)『地球 ― その誕生と現在』上山弘著、裳華房(1995年3月)には、惑星としての地球の姿等も詳しい。
 *2)『環境とエネルギー ― 21世紀への対策 ―』安藤淳平著、東京化学同人シリーズ「科学のとびら25」(1995年9月)などに記述がある。


もう一度
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