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| ◆ ◆ ◆ 第4講 ハードパスとソフトパス ◆ ◆ ◆ |
| C. | エネルギー供給構成 |
わが国の完全失業率は女性で3.8%、男性で3.9%と過去最悪記録を更新した。完全失業者の男女合計は300万人に迫っている(総務庁労働力調査:1998年4月28日速報グラフ参照)。このうち35歳未満が半分を占めるのは、将来に対する展望が見出せないでいる若年層の多さに起因するとの観測もある(労働省)。さらに1998年度中葉から末期にかけて、追加資料はワースト記録を更新していった。
このような時世にあっては、省エネ産業や環境保全事業なども含め、雇用や起業のチャンスが増えるよう有効な手段を講じるのが得策と考えられている。新進の起業に対しても大いに投資をすべきなのだ。
実際、経済ゼロ成長期に目先の利潤に振り回されていたのでは、環境施策のためになる産業は育たないだろうし、貸し渋りなどに対しても、早急に手を打つべきときであると察せられる。
とはいえ、最近(1996〜98年)日本で起きている現象は、安定型経済成長、少子化、それにともなう労働人口構造の変化などなど、どれ一つとってもエネルギー資源と地球環境の問題に対して、将来少なからぬ影響の懸念されることばかりだ。人口転換も市場経済の枠組みを経由して、エネルギーや食料などの需要と供給との関係から、地球環境の劣化と結びつく要因を持たないわけではない。(経済企画庁総合計画局公表資料の総括図表1にも分析があるので、興味のある方はご覧いただきたい。)

石の文化と省エネルギー上記の社会の典型的な現象が、市場経済に悪くない結果を残す条件が何かあるだろうか?
たとえば女性労働人口の増加は、それ自体歓迎すべき現象である。
だがそれは同時に、かつての核家族化社会や、これからますます顕著になってくる高齢化社会の問題に劣らぬ重要なインパクトを社会に与えることだろう。必ずしも悲観するには及ばないといえる一番の要素はサービス産業の好調さで、言葉を換えれば消費者は売れる商品(有形無形を問わず)に関係するマネジメントを求めているということである。現代日本の特徴に生涯未婚の現象がある。下司の好奇心などからではなく、高度成長につれて増加の一途をたどってきた生涯未婚率、特に男性のそれは大きな影響を社会に及ぼしてはいないだろうか。出生率の低下はしばらく続きそうなのである。
働き盛りで多忙な主婦(主夫)の立場や、落ち着きを求める中高年層の立場に立ってみるとわかるように、消費の停滞は生産者よりも消費者への配慮を手厚くする時代を次第に形成しつつあるようだ。ゆとり志向の消費者は、各種レンタル・リース業者、ファーストフード・チェーン店や弁当屋さんなど、ずぼら産業とも称されるサービス業に依頼できることはまかせて、その分ほかの自分ならではの事柄に頭を使う。
このことは家庭ですっかり必需品となっている電気掃除機、炊飯器、冷蔵庫など電化製品のどれをみても、消費者は『なるべく使い勝手の良い製品を選択する』という点からも明らかである。製造業にとどまらず他の多くの部門で今後ますます高生産効率が求められることだろう。
社会が政策や規範できちんと対応していくべき問題は少なくないといえるが、ひるがえって起業家としては大いにこのような消費傾向を考慮すべき時代なのである。
その一つの例が、労働人口構成の変化から生じた老後の生活に対する見とおしの急変だ。とくに団塊の世代を中心に、いつも一世代上のために働きながら、自分たちの番がくると『財源がありません』と門前払いをくわされてきた実感を持っている。かれらこそ消費を控えて貯蓄し、同時に納得できる商品には手を出す中心層なのである。
また、総務庁「国勢調査」のデータおよび国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(1997年)による推計データによれば、日本の生産活動年齢人口比率つまり「20歳〜64歳人口を総人口で割った百分率値」は、1995年〜2000年ごろの62%台をピーク値として、そこを境に減少に転じていくものと予測される。現在すでに減少期に入っている。
これらのことが、消費の低迷と関係してはいないだろうか。
ここで石の文化というのは建築物などに関することであり、それが、耐久年数を通して地球温暖化抑制に関係しているということである。この際、歴史を紐とくのも、あながち無駄ではあるまい。望まれる対応策
1997年、メキシコの経済不安、アジアを中心とする通貨危機、《EU》でも1997年-1998年には労働問題その他の経済問題が頻発した。
わが国の建築学会からは、建築物の短命なことが二酸
化炭素の排出を多くしているという指摘がなされている。かつて1960年代フランスとドイツは、トルコ、旧ユーゴスラビア、イタリアなどから大量の労働者を受け入れたが、1970年代の不況からのち外国人労働者は街にあふれ始めた。とくにドイツでは、1990年10月の東西統一を機にこの傾向は強まり、ついに1998年の失業率は戦後最悪の12%となった。それでも、環境問題への力の入れ方が弱まったという話しは聞かない。
ヨーロッパ人、とくに北欧人の環境問題への関心の強さには圧倒されるものがある。そこには様々の自然環境あるいは人的環境の影響があるのだろうが、なかでも、ヨーロッパは一つという思想が大きな役割を果たしているように思える。
第2次大戦後、海外の多くの植民地を失ったヨーロッパの国々は、アメリカや旧ソビエト連邦に対抗するため経済協力を推し進めた。1967年にはEC(ヨーロッパ共同体;本部ブリュッセル)が誕生した。最初の加盟国こそフランス、ドイツ、イタリア、ベネルクス3国と少なかったが、「拡大」と「ヨーロッパ共通通貨」がその後の歴史を語る。
1973年にイギリス、デンマーク、アイルランド、1981年にギリシャ、さらに1986年にはスペインとポルトガル、そして1995年にはオーストリア、フィンランド、スェーデンが加盟している。
ヨーロッパの民族は大きくはゲルマン系(イギリス、ドイツ)、ラテン系(イタリア、フランス)、スラブ系(ポーランド、ユーゴスラビア、ロシア)と分かれる。
もちろんスペインのバスク人やアイルランドのケルト人を忘れたわけではなく、また、これら民族の文化・歴史・抗争を一口で述べる無法を犯すつもりはない。
多少の強引さを承知で注目したのは、ヨーロッパアルプスより北側の文化を『石の文化』ということだ。北欧の人々の環境へのいたわりには『石の文化』が関係していないだろうか。これは、あなたに対する課題だ。
ちょっと見たところ、現在の地球温暖化への流れを変えることは不可能なように思われる。それは、わが国の総1次エネルギー量に占める各々の1次エネルギーの割合、および最終エネルギー消費量に占める各々の2次エネルギーの割合を見て、化石燃料のあまりの率の高さに驚かされるからであろうか。
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| 総供給量に占める各1次エネルギーの比率(1995) | 最終消費量に占める各2次エネルギーの比率(1995) |
温室効果などの環境リスクを伴わないエネルギー資源をというと、バイオマスと呼ばれる生物燃料にたどり着く。木質バイオマス(薪炭)、エチルアルコール、植物油などだ。自然エネルギーとしては太陽光や太陽熱の利用をすぐに思いつくだろうが、太陽の恵みで育つ樹木の木質バイオマスを見逃してはならない。
第一に、1次エネルギーから2次エネルギーへの転換の効率を引き上げることである。第二には、発電など1次エネルギー供給に占める化石燃料比率の低減をはかることであろう。そして第三には省エネルギー化を促進すること、つまり二次エネルギー消費を削減したり、高効率の熱・エネルギー利用システム(コジェネレーションシステムや熱のカスケード利用 )の普及をはかることであろう。総じて、社会の隅々で再生不可能な(一過性の)エネルギー利用形態から再生可能な(循環性の)エネルギー利用形態への改善をすすめることが重要だが、たとえ困難があってもこれは避けられない道だ。
一口メモ
「薪(まき)」と聞いて過去のものとか、あるいは二酸化炭素や煙など環境への悪いイメージばかりを想像するかもしれない。こと二酸化炭素に関するかぎりそれは間違いだ。
スウェーデンで使用されるバイオマスは樹木の先端や枝葉の部分で、森林が適切に管理されているので炭素吸収量との釣り合いからCO2は排出されないし、コストも石油より低い。多くの自治体で木を燃料に稼働する蒸気ボイラーは、各家庭の給湯器に断熱パイプでつながれている。スウェーデンではエネルギー供給源の実に17%が木質バイオマスである。最近は発電能力の拡張にも手が着けられつつある。木質バイオマスはそのまま、あるいはガス化して使用する。
草木(材木、サトウキビ、菜種、ケナフなど)を燃料その他に使ったあとは、そこに生じた土地スペースに若い草木を植えておく。すると、燃焼などの過程で放出される二酸化炭素が元の位置、活動的な成長期の森林や草木に還元・固定される。CO2の排出と回収が量的に同じであるから、環境を汚染することはない。ただ単に温室効果ガスの吸収率が気になるだけなら、ポプラ、ケヤキ、ユーカリなど吸収率の高い樹木を植えるとよい。
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| 東京学芸大学構内に今も残る江戸期からのケヤキと その“いわれ”が刻まれている記念碑の前にて。 |
食用油で走る自動車とて同じことだ。捨て去るものを再び生き返らせて使うことは、まさに仏教の『輪廻転生』と同じ意味である。
燃料電池などに有効なエチルアルコールは、サトウキビなどから採取されている。菜種油は、すでにドイツなどで環境にやさしい再生型燃料として公的な育成補助の対象となっている。オーストラリアではユーカリ油を、ブラジルではヤシ油を車の燃料として使っている。
水質汚染の元凶のひとつに生活廃水がある。台所で使用済みの食用油を「たれ流す」と、河川を汚すこと至ってひどいものとなる。その点、食用廃油はディーゼル自動車の燃料にすることができる。植物油の燃料からは黒煙が軽油の1/3しか出ない上に、馬力や燃費は軽油と変わらない。廃油再生業がうまく回転するのには、社会的なシステムが必要だ。東京の染谷商店は、てんぷら油など植物油の廃食油を回収し、現在、日産1,300リットルのディーゼル燃料を生産している(1998年初め)。
大きな油かすを取り除いた後、ペーパーフィルターで細かい天カスや固形物をこし取り、熱して水分を蒸発させて冷まし、さらに活性炭を入れたペーパーフィルターとビロード生地(メガネ拭き布など)で漉してできあがりだ。この方法は愛知県海部郡蟹江町の住職・安井興紹さんによるものだ(サンデー毎日1998年4月12日号より)。
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