ダイオキシン対策にかみ合わせたい、リサイクルと省エネルギー
全国に約2,400ある一般廃棄物処分場のうちの約2割(500箇所)に、ダイオキシンを含む焼却灰などが埋められているか、または、過去に埋められていたことがわかりました。これらの処分場はすべて素掘りのもので、遮水シートや排水処理施設は付属していません。ダイオキシンは、発がん作用などの猛毒性のみならず、内分泌ホルモン系を攪乱したり免疫系を破壊したりする危険な物質としても知られています。それにもかかわらず、廃棄物処理法の改正(1977年)以降も、以前からあった処分場は遮水シートや排水処理施設を持たなくても構わない、とされました。環境へのダイオキシンの排出を最小限に食い止めるためには、高度循環型社会を実現し、廃棄・焼却されるプラスチックの量をできるだけ少なくすべきです。
総理府と厚生省は廃棄物処理法の改正に伴って(1997年12月1日からは排ガス中のダイオキシン類濃度を年に1回測定することも義務づけられています)、埋め立てられた廃棄物が周囲の地下水に悪影響を及ぼさないようにと省令を出しています。それにより義務づけられた内容は次のとおりでした。
- 一般廃棄物処分場を建設するときは、今の管理型処分場と同じように遮水シートを敷くこと。
- 一般廃棄物処分場から浸出する水については処理設備を設けること
- 素掘りの処分場には原則として一般廃棄物を搬入しないこと。
- 素掘りの安定型の産廃処分場では、無害とされるガラス、金属くずなど5品目だけを処理すること。
上記のように、改正前に稼動または建設中であった処分場については適用外とされ、焼却灰などが持ち込まれ続けたのでした。この規制外の焼却灰は、あるいは風によって吹き上げられ、あるいは雨水によって河川や海に流れ込み、あるいは地下深く堆積したことでしょう。それゆえ、これが知らず知らずのうちに地下水や河川の水や飲料水を汚染し、地球規模で生態系に被害をもたらした可能性は否定できません。
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排ガス中のダイオキシンを減らすには ――
焼却場から出る焼却灰や煙に混じって排出されたダイオキシンは、大気、土壌、河川、海へと拡散し、微小生物種から魚や肉などの食品を経て、人間の体内にも入ってきます。日本でのダイオキシンの規制は、欧米に十数年遅れて始まりました。DDTやPCBなどによる汚染のときもそうでしたが、有害な化学物質の汚染リスクを論じる際には、できるだけ発生が始まる以前から規準を設けるようにしなければメリットがありません。1998年12月現在、ごみ焼却場の緊急停止基準値は80ngと定められています。1ng(ナノグラム)=1×10-9g(グラム)、つまり、1ナノは10億分の1です。
自然界での物理的拡散と食物連鎖により、高等動物へとすすむほど、ダイオキシンの生体内蓄積濃度は高くなります。水溶性でないダイオキシンは油分に溶解して、脂肪組織や肝臓などに蓄積されます。人間では、出産回数と授乳頻度に応じて、母体内の蓄積量は減少することもわかっています。母乳を通して赤ちゃんの体内に移動しやすいためです。それでも、新生児に免疫力をつける等のはたらきで母乳に優る人工乳はないといわれます。魚の好きな人は‘断魚’をするわけにもいきません。シーア・コルボーンほか著「奪われし未来」(増補版邦訳:飛翔社)などによれば、人間の体内で問題となる濃度は1ナノグラムのさらに千分の一、1pg(ピコグラム)=1×10-12g(グラム)、つまり10兆分の1グラムという超微量スケールだということです。
厚生省は1997年4月、全国のごみ焼却場のデータを公表しました。今後の対策として重要なことは、塩素を含んだ塩化ビニールなどのプラスチック類を、ダイオキシンが発生し易い温度で焼却しないことだとされています。塩ビシートなど大量に消費されるものについては、安価だからといって使い捨てにされないように回収ルートを確立し、焼却を回避することです。
この年厚生省は、既存のごみ焼却炉での排ガス中のダイオキシン濃度を当面1立方bあたり80ナノc以下とし、2002年末までに処理量に応じて1〜10ナノc以下に削減するよう求めています。
最近、ごみ焼却処理の際発生するダイオキシンなどの環境負荷物質を封じ込める方法が開発されてきています。
たとえば、大阪府堺市環境事業部の南工場では、炉の下部から空気を送るストーカー式連続機械炉(自治体経営炉の25%)によって生ごみを含む一般ごみを燃やすとき、従来は不完全燃焼が起きていたそうです。これを改良し、炉内一酸化炭素濃度を制御して完全燃焼に近づけ、生ごみも1-2日寝かせるなど乾燥させ、燃焼条件を安定にし、さらに、高温の排ガスを電気集塵機に通す直前で急速に冷やすなど工夫もほどこしたところ、排ガス中のダイオキシン濃度は1立方bあたり0.21ナノグラムまで減らすのに成功した、とマスコミで報じられています。
一法として、焼却するごみから生ゴミを除外するという手があります。現に生ゴミを燃やすのではなく、発酵させることにより堆肥として処理している“ごみ処理工場”はあります。生ゴミを除いた残りのごみを高い焼却温度で処理すれば、ダイオキシンを含む環境ホルモンの発生を抑制しやすくなります。
ヒトがダイオキシンを生涯摂取しても悪影響がない耐容1日摂取量(TDI)については、世界保健機関(WHO)の基準がありました。わが国でもダイオキシン法を制定してWHO並の基準を設けるための複数政党による協議が開始され、原案がまとめられました(1999年5月14日)。 警察庁は、1999年4月5日、産業廃棄物の不法投棄やダイオキシン汚染の原因の一つといわれる野焼きなど、「環境犯罪」の取り締まり強化策を全国の警察に通達しています。