環境保護を強力に推進するためには、すべて市場原理に任せっきりというわけにはいきません。私たち消費者にしてみれば、いくらエネルギー効率の優れた電気製品、環境に対する配慮や省エネ対策の施されたハイブリッド乗用車などが市場に出まわっても、いま使っている製品の耐用年数が経過しなければ買い替えません。買い替えをうながす条件として環境に良い製品を買いやすくする施策がとられること、リサイクル・システムが整備されること、社会的価値の高い環境産業に対する政策的支援があること、などが考えられます。
*)1998年度から始まった規制緩和項目のうち、エネルギー関係で直接、間接に生活への影響が考えられるものとして、@電力の小売り供給自由化(検討中)、A航空運賃の下限撤廃、B給油所でのセルフサービス解禁などがあります。このうち発電事業については、新たな入札制度が99年度から導入されます。ここでは規制緩和策*とは反対に、二酸化炭素の排出抑制や家電製品のリサイクル義務化などに関連して、「社会的規制」の強化が予想される事柄を整理してみました。市民レベルでの参考に供してください。
(1)二酸化炭素の排出を抑制する。
公共事業を営む者が新車を購入するときは、一定以上の割合で天然ガス車などのクリーンエネルギー車を採用する。その際、政府は購入にかかる費用の補助を出す。
製品を生産する過程や、廃棄の段階でのCO2の排出を大幅に削減した企業に対しては、免税などの措置をとる。
地方自治体は地域を指定して、クリーンエネルギー車以外の車の乗り入れを積極的に規制する、など。
(2)家電製品のリサイクルを義務づけ、省エネ製品の開発と販売を推奨する。
不要になった家電製品(テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)を対象に、家電販売店などが回収し、それを製造したメーカーが引き取ってリサイクル利用する。[→ 家電リサイクル法]
高度な省エネ化を実現した優秀な家電製品に対する減税措置を講じる。 (3)発電設備の稼働率 を高める。
一定規模以上のビルで夜間電力エネルギーを蓄えておき、昼間の冷房などをまかなう。
真夏の昼間の電力料金を割高にする、など。
上記項目の内容の大部分は、すでに1997年6月下旬までに通産省を中心に検討された事柄と関係があります。ここでは、なるべく一般化した構想を述べるように心がけました。ほかに解決可能な課題または問題点があれば、いくつでも挙げて検討してください。
(1)に関連して、二酸化炭素の排出規制は当然ながら、地球温暖化の抑制を目的としたものです。なかでも、クリーンエネルギー車 の技術開発のスピードは、今後の情勢次第で、相当高まる可能性があることに注目しましょう。天然ガス車や電気自動車、またはハイブリッド車の利用割合を上げることは、もちろん、当面の二酸化炭素の抑制に効果抜群です。水素燃料車(主として燃料電池 など)の開発推進も、近い将来かならず成果が期待できます。“クリーンな――”というときは、軽油やガソリンの燃焼で排出される窒素酸化物 NOx、硫黄酸化物SOxや浮遊粒子物質 PMによる大気汚染も意識しているのが一般的です。クリーンエネルギー車を利用し易くするような、市場原理に配慮した適切な施策が望まれます。
(2)の関連では、家電製品を使用後にリサイクルするための費用(1台あたり数千〜1万円程度)を誰が負担するかについて、消費者や有識者を交えて検討する必要があると思われます。また、ハンドル手回し充電方式のラジオや握力充電方式の携帯電話など、省エネ化を高度なレベルまで追求した電化製品も出現しつつあり、今後の発展が楽しみである。
(3)との関係で、日本の発電設備の稼働率は年間平均で現在約55%ですが、これを欧米並みの60〜70%に上げるためには、いくつかの規制が必要となるでしょう。1日24時間の電力消費量 が一定していないことはご承知の通りです。そこで、水力発電所においては、夜間の余った電力を使ってダムに貯水しているのですが、発電所だけでは能力の限界や無駄があります。同等のことを電力消費量の多いビルなどで実施すれば、さらに高い省エネルギー効果が期待できます。
1997年10月
持続的発展ということ
