「基礎物理学実験」、「基礎物理学講義」 ( 「基礎物理学T」、「基礎物理学U」 )、 「社会とエネルギー資源」、 「教養ゼミ」、「各学年のゼミ」、「特別実験・実習」
ところが,高校で物理を履修してこなかった受講生は,これに別の意味での「ブリッジ要因」を携えてきます。それは『後期中等教育からの継続性』という大きなテーマとも関わりがあります。また分数や比に対する学習不足の影響は,中学や高校の早い時期から問題化する傾向があります。高校では物理と数学での学習内容の摺りあわせ,履修時期のずれの問題も懸案です。さらに,理科の選択性への完全移行や授業時数の削減は,わが国における理科教育の問題を高等教育に先送りし,かつ次世代での大きな課題となって残されることだけは確かです。高校課程での問題点や“理科離れ”の論評は,これぐらいで差し控えることにしましょう。
さて基礎物理学Tに戻って,少なくとも開講直後から4週間も続けて出席する人は,物理の履修に強い意欲を持っていると思います。したがって授業のなかみは往々にして,レベルの上でも賑やかになる傾向をもっています。
そこで講義のねらいの目安として,物理学という広範な学問の基礎をすべからく学ぶというよりは,むしろ,つねに自然科学のフロンティアーであった物理の物理たるゆえんを追求しようと思います。すなわち力学から電磁気学,古典場の波動をへて,量子力学へと受け継がれていった物理的な考え方を明らかにしたいと思います。これを手がかりに,私たちは,量子化学や分子生物学など現代の科学の基礎についても,より一層取っ掛かり易くなるのではないでしょうか。
下表はいずれも左側が基本的な(平易な)式です。とくに,例7→8→9→10はニュートンを運動の法則へと導いた概念式です。これに対して同じ速度でも例1は抽象的な定義を示しています。他方,右側の式はすべて基本式の応用となっています。したがって式の変形(展開)は左から右へ進んでいくのが道理です。
*)基礎物理学T第2講の衝突実験のところで引用した紀要論文です。別刷りをご希望の向きはお知らせ下さい。
インターネット等マルチメディアを活用している大学の割合は,1998年度末現在の調査で,国立大学の35.1%,国立短期大学の33.3%,そして私立大学の27.2%だそうです。マルチメディアの活用は,今後一層その重要性を増してくると思われます。
メディアの定常的活用
講義要録の関連箇所
演示(簡単な実験)
〜ビデオテープ上映13回〜
(というほどのものではないけれど)
(1)太陽一周の旅へようこそ
第1講(ガイダンス中心)
(2)運動量の保存
台車の衝突で打点記録,データ処理
(3)落体の法則
変形フリスビーで質量中心を割り出す
(4)慣性
第3講(その1)あたり
コロのついた台とニュートン秤を使用
(5)ニュートンの法則
糸を切って見せる(課題に関係)
(6)りんごと月
第4講(その2)あたり
(7)四つの力
第4〜5講(随時)
(8)円運動
第5講(随時)
向心力の存在を感じさせる
(9)調和振動
第5〜6講の間
複数個の単振り子で共振するペアを見せる
(10)エネルギーの保存
第6講
ラジオメーターを見て考える
(11)角運動量
第9講
力のモーメント(トルク)を実感,竿のたわみで
バットの両端を2人でねじる競争も
(12)ケプラーの法則
第10講
黒板に楕円を描く
(13)宇宙の航行
第10講以降
基礎物理学T,Uは産業科学技術学部の生命化学(機能物質化学)科における「専攻科目」(Tは力学,Uは量子論と電磁気学をそれぞれ中心とするもの)です。その特徴の一つに「ブリッジ科目的要素」があります。教養的な内容から専門的な内容へとつなぐ役割を意識しないわけにはいかないのです。そのことが,講義内容を多彩な模様に仕立てています。
指導展開の見なおし
・・・詳しくは資料*) P.42の解説をご覧下さい。
〜量概念の形成段階に配慮〜
(例1)速度の定義(抽象化)です:
(1b)

(1c)

(例2)
(2b)

(2c)

(例
3)

(例4)
(4b)

(4c)

(例5)
(5b)

(5c)

(例
6)

(例7)物体単位量のもつ運動量(速度概念):

運動量の単位を1Dとすると,1D=1(m/s)kgです。
(7b)

(7c)

(例8)
(8b)

(8c)

(例9)物体のもつ運動量の変化の割合:
(9b)

(9c)

(例
10)

広島県の岡本淳平教諭からは,比と分数表示の学習上の問題について,ご意見をいただきました。ありがとう
ございました。

ある意味で非常に大胆にインターネットを利用し始めましたが,私は良い悪いの評価はべつにしても,受講生にその活用を強いるという点では慎重にならざるを得ません。理由は簡単で,第一に,入学後まもない1年生はまだネットワークに抵抗を感じる人の割合が高いことです。自分のノートパソコンをセットアップする作業もあって馴染むまでに時間もかかるというのに,仕様に慣れていく過程と並行して「基礎物理学」でのオンライン検索を課しても,一体どれほどの学習効果が期待できるか疑問に思います。それでもごり押しをすれば,多くの人がこの科目の1年次での履修をあきらめて去っていくでしょう。学科によっては,2年次以降もパソコンやネットワークには関わりたくないという人が意外と多いのです。
しかし早くからパソコンに慣れるのは良いことです。わが国ではかつて外国語や理科・社会のための視聴覚教材の活用が初等・中等教育で高く評価されて,一般化されていった経緯がありますが,パソコン・ネットワークの活用も同じように広まっていく可能性は高いと考えられます。その活用は企業でも次第に必須機能と考えられつつある昨今,大学生諸君には積極的になってほしいと願っています。授業を担当する側からも1科目や2科目の担当者だけではなく,せめて学部または学科を通しての教育活動のコンセンサスをはかることは不可欠です。

一般に煩わしいことは避けたいというのが人情≠フようです。ましてや必修でもなければ,そういったことでは苦労のない(と思える)科目を選びたいといったところでしょうか(もちろん,これらは見当違いであるわけですが...)。そのことを裏付けるかのように,履修手続き締め切り以前の時間に『この授業ではネットワークを利用してもらう』と言えば,次の週から教室の空席が目立つという現実があります。私自身べつの担当科目でそういったことを経験しました。
「基礎物理学」では,身振り手振りと音声と黒板に他のメディアを組み合わせた授業方法を採用しています。授業の重要な部分や課題の提示には板書するか,でなければプリントを渡しています。直接のメディア活用といえるのは,ここという節目のところで教材のビデオを上映し(10〜20分ほど),必要に応じて用意したプリントを投入し,そして授業後に5分で感想(意見)を書いてもらって次回の授業準備に役立てていることです。
授業中はもちろんのこと,その他のいかなる時間においてもインターネットの利用を強制することはありません。これは図書館の利用を強制しないのと同じです。強制されなくても,図書の閲覧はふつう自由意志でするものです。内容のあるレポートを書きたいから図書館に行くのです。
基礎物Tの熱心な受講生が学習を補う目的でインターネットを利用するのはおもに授業の空き時間で,平日の昼間は学内LANを使っているようです。メールでの質問も時々ありますが,まだ事例は少数です。今後はLAN回線のある教室を使用すべきかどうか,受講生の意見を採り入れていこうと考えています。