倉敷芸術科学大学

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2024.02.29

#Event

オーストラリアでの動物病院研修を終えて 〜 私がなりたい動物看護師を求めて in Brisbane

本学科の辻さんは、オーストラリア動物看護師国家資格の取得を目指している2年生で、この春休みを利用して、ブリスベンにある動物病院(スペシャリストセンター)にて研修して来ました!

この研修に行くことを決めた理由は?

かねてより海外での学びに興味があり、また動物福祉が日本よりも一般化しているオーストラリアでの動物医療や文化に触れてみたいと思ったからです。

オーストラリアの生活や動物医療などについて感じた事は?

犬を放すことのできる公園や一緒に入店できるレストランなどが街に多くあり、動物と人が心地よく共生するための設備がしっかり整えられていると感じました。また、ペットがよくしつけられており、飼い主様への教育がしっかりとなされていることがうかがえました。オーストラリアの方々のおおらかな国民性もペットフレンドリーな社会づくりを支えているのではないかと思います。

動物医療については、オーストラリアにチーム医療という言葉はないそうです。患者である動物のために獣医師や動物看護師、その他のスタッフが一丸となって最善の医療を提供することは当たり前であるという考えに基づいているようです。

昨年度より日本の動物看護師も国家資格化されました。このことから、日本における動物の社会的地位をより向上させるために、また私たち動物看護師を志す学生が考えて動ける動物看護師になるためにも、より一層学ぶ必要があると強く感じました。

現地の動物医療現場では、動物の苦痛やストレスを軽減するよう常に配慮しています。例えば、院内にいる不安感やストレスが強そうな動物には鎮静剤を与えたり、採血などで針を刺す部位にあらかじめ痛み止めのクリームなどを塗ったりしています。入院の動物によっては、1時間に1回の散歩をしたり、猫舎が猫の落ち着く香りに満たされていたり、犬舎や猫舎ともに動物をリラックスさせる音楽を流したりしていました。

また、どうしても落ち着かなかったり怖がる動物については、その子のそばに動物看護師が寄り添い、落ち着くまで撫でたり話をしたりする形のペインリリーフもありました。動物医療従事者と飼い主様の両者が「ペット第一」の考え方を前提としていて、日本では避けられがちな毛刈りや動物の状態に合わせて時間をかけることも積極的に行われていました。

動物ファーストの意識のもとに行われていることは、飼い主様への配慮を最も優先する傾向にある日本とは異なる価値観であると考えられます。社会での動物の地位や動物の文化が違うことで、動物と人との関係も異なるのだということも学べました。

この研修を通して変化した考え方などはありますか?

この研修以前は、ペットの一番の理解者であり医療における最終決定を下すことのできる飼い主様を優先することに対して違和感がありませんでした。そもそも、動物ファーストがどういうことか理解できていませんでした。しかし今は、動物看護師として動物の痛みや苦しみを受け取り、最小限の苦痛で最善の医療を見つけ出すことが動物ファーストであり、また飼い主様と動物のより良いペットライフに繋がるのだと理解しています。

動物と飼い主様のどちらの人生においても、希望の光となれるような医療を提供できる動物看護師になれるよう、日々精進して参ります。

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※画像は許可を得て使用しております。

(文責:村尾)