倉敷芸術科学大学

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2024.03.04

#Event

オーストラリアの動物病院研修を終えて 〜 私がなりたい動物看護師を求めて in Melbourne

メルボルンの動物病院で研修を終えた3年生の齊藤さんと時田さんは、オーストラリアの魅力を肌で感じ、大きな希望と共に帰国しました!短期間の研修ではありましたが、彼らが経験した貴重な学びや感動などをご一読いただければ幸いです。

この研修に参加することを決めた理由は?

昨年の豪州資格講座にて、オーストラリアの動物病院で研修を受けられると聞き、動物福祉の先進国で活躍する動物看護師の姿や働く環境などを直接見てみたいと思ったからです。 

オーストラリアの生活や動物医療などについて感じた事は?

オーストラリアの人々は、日頃からコミュニケーションを大切にしているように感じました。空港や飲食店、近所の人や誰に対しても、まずは “How are you? ” から始まることに驚きました!日本では店員さんや初対面の人との会話で「元気?」と声を掛ける習慣がないので、とても新鮮でした!

ベンチに腰を掛けて友人を待っていると、通りがかりの人が「そのサングラスいいね!」と声をかけてくれたり、カフェでは注文時に名前を尋ねられて(出来上がりの際に名前を呼ばれるのですが)、店員さんから「いい名前だね!」と言ってもらえたりしました。お店では、店員さんとお客さんが日常的な会話をしている場面もよく見かけました。マニュアル通りのセリフや接客ではなく、お客様との会話を楽しんでいるところも、日本のきっちりとしたホスピタリティとは違って、フランクで人間味のある対応に魅力を感じました。ホームステイ先では、帰宅すると、ホストマザー(ホームステイ先のお母さん)が「今日はどんな1日だったの?」と声をかけてくれたり、いろんな所に連れて行ってくれたり、私達と一緒に居る時間やコミュニケーションを取る時間をとても大切にしてくれました。

オーストラリアでは、公園はもちろんのこと、近くのマーケットなどの場所でも愛犬を連れて散歩をしている人を多く見かけました。一緒にいる犬は、人が多く集まる場所であっても、立ち止まったり吠えたりすることはなく、きちんと躾けられていました。

動物医療について

現地の動物病院での研修では、「動物優先の医療」を目の当たりにし、オーストラリアの動物看護師さんの立場がとても高い位置にあることを肌で感じることができました!

動物看護師は「獣医師の指示を待って動く」といったスタンスではなく、動物看護師から獣医師に話しかけたり意見を述べたりする場面を多く見かけました。また、処置中は絶えず動物に声を掛けており、処置が終わると決まって褒めていました。

スタッフの皆さんが診察や処置を焦らずに、的確にこなされている様子を拝見し、大変感銘を受けました。また、スタッフの皆さんの動物に対する姿勢は大変素晴らしく、感動の連続でした!入院している動物の前を通るときはいつでも動物に何かしら声掛けをしていたり、血管に注射針や留置針を入れる際には少しでも恐怖や痛みを緩和するために、鎮静剤や痛みを和らげるクリームを積極的に使用したりしていました。このような試みは、実際に人と動物の怪我の防止や円滑な処置、ストレスの軽減などにつながっていて、多くのメリットがあると感じました。

鎮静やクリームは準備や処置、効果の発現に時間を要しますが、時間が掛かるという理由で使用を躊躇うような飼い主様やスタッフは誰一人いませんでした。そこには「飼い主様を待たせないようになるべく早く処置をする」という考えよりも、「動物に嫌な思い出を残さずに帰って欲しい」という動物への心配りを優先しているように感じられました。

飼い主様とのコミュニケーションの取り方も素晴らしく、学びの一つになりました。スタッフの皆さんは、私たちが「友達なのかな?」と勘違いしてしまうほど、どの飼い主様とも友人のように会話を楽しんでいました。動物看護師同士、獣医師同士、動物看護師と獣医師のスタッフ間においても楽しそうに会話をする姿が多くみられました。仕事が落ち着くと自然と同じ場所に集まっては、些細なことでも相談し合っていて、連携がしっかり取られていました。私たちは、英語を話すことに自信がなく、質問したことがきちんと伝わるのか不安でしたが、つたない英語であっても一生懸命に聞こうとしてくれたり、ゆっくり話して分かりやすく説明をしてくれました。動物医療以外の話もしてくれたことで緊張がほぐれて、こちらからも話せるようになりました。

研修期間中には、4件の安楽死の処置がありました。このうちの2件は保護された野生動物で、野生復帰ができないほど傷付いており、やむなくの処置となりました。オーストラリアでは、犬や猫などのペットを診察する一般動物病院であっても、野生動物や飼い主のいない動物が事故にあったり、弱っていたりして保護された場合、無償で引き取って治療等を行うと聞いて、とても驚きました。安楽死に対する考え方は、日本との違いを感じました。治療しても回復の見込みがほとんどない動物において、日本では飼い主様が延命治療を希望される傾向にあるように感じますが、オーストラリアでは飼い主様も獣医師も動物が最も「苦しまない選択」「痛みからの解放の選択」について話し合い、その選択肢の一つとして安楽死があるように感じました。

 

この研修を通して変化した考え方や新たな決意などはありますか?

オーストラリアへ行くのは初めてでしたので、自分たちだけで渡るのは大きな挑戦でした。オーストラリアへ行くまでは、正直、とても不安でしたし怖かったです。ですが、オーストラリアへ渡ってからは「こんなの初めて!」と思う様な、感動や驚きの体験の連続でした!

日本に居て当たり前と思っていた常識や考え方が、オーストラリアでは当たり前でないことを実感することができました。海外へ行ったことで、これまでの世界観や人生観、価値観が一気に変わりました!研修を終えた今、「研修に参加して本当に良かった!」という思いしかありません。何かに挑戦する事は、とても勇気がいる事ですが、挑戦した先で得られるものは本当に大きいのだと、今回の研修を通して実感しました。

大学生活にも終わりが近づいて来ており、この一年をどう過ごすかで将来は大きく変わると思います。時間は限られていますし巻き戻せないので、失敗を恐れずに、研修で学んだ事を活かしながら様々な事に挑戦していきたいと思います。

また、今回の研修に参加した事をきっかけに、「海外の方ともっとコミュニケーションを取りたい!」「もっといろんな場所を見てみたい!」と思いました。コミュニケーション能力や英会話力も高められるように、日々努力していきたいです。

海外で働くということを一切考えていなかったのですが、オーストラリアに渡って現地の病院で実際に研修をしたり、現地で働いている日本人の方々の話を聞いたりして、海外で働くことが将来の選択肢の一つになりました。これまで以上に、大学併設の教育動物病院やパートタイム先の動物病院にて、豪州資格取得で重要となる現場経験をさらに積んでいきたいと思います!

本格的な就職活動を控えている今、卒業後にどこで何をするのかをしっかり見据えて、後悔しない選択をしたいです。そのためにも、日本の動物看護師国家資格はもちろんのこと、オーストラリアの動物看護師国家資格も取得できるよう、これからも頑張ります!

(文責:村尾)

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保護された有袋類のポッサムの赤ちゃんへのミルクの与え方を教わっているところ

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研修終了後に出勤していたスタッフの皆さと一緒に。「修了証書」を頂きました!