2025.09.06
#Event
2025年度オーストラリア短期研修について(後半その1)
5日目(9/5)はゴールドコーストからシドニーへ移動しました。同じオーストラリアでも雰囲気が違いました。シドニーでは、24時間体制で診療を実施し外科及び内科の各種の専門医が在籍するVeterinary Specialists of Sydneyを訪問し診療の様子や内部を見学させていただきました。同院は世界的にもトップレベルの動物病院で、同院を見学できることはまたとない貴重なものになりました。
同院スタッフが可能な限りあらゆる箇所を見せてくれたので、記載事項はつきませんが2点を書かせていただきます。まず最初に緊急処置室をご説明いただきました。
緊急で運ばれてきた動物はまず最初に、正面の台に運ばれてきます。そうするとスタッフはそれが緊急の合図になっているので、スタッフが駆けつけ直ちに処置が始まるそうです。
こう決めておくことでスタッフ間の連携がより確実になるそうです。さらに驚くのは、上段の写真のように大勢の学生が見学で騒がしいのに、同院の動物看護師は落ち着いて緊急処置をこなしていることでした。上の写真の向かって右側に大型犬がぐったりしています。糖尿病が原因でその治療を施し経過を観察されていました。動物の生死を預かるとても緊張した場面でも学生に気さくに挨拶をしてくれつつ、動物に真剣向き合うプロフェッショナルな姿に深い感銘を受けました。
報告すべきことは尽きないのですが、もう1点を書かせていただきます。各種専門医が診療を行い、かつ24時間体制の同院ではどうしても動物の死と隣り合わせの緊張した場面が続きます。同院ではグリーフケア(飼い主が動物の死に直面する悲しみをケアすること)のスタッフが常勤し、グリーフに関する専用の部屋があることにも感銘を受けました。この部屋のドアが閉まっている時には、関係するスタッフだけでなく部屋の前を通るスタッフ全員がそのことを認識するようになっていました。こうすることで悲しみに暮れる飼い主をどのようにケアするか、を考えておられました。
オーストラリアはずっと前から動物看護師が国家資格化されています。一方日本では2022年度から動物看護師が国家資格化しました。オーストラリアでは動物看護師のあり方が日本と大きく違うのでとても参考になりました。今後、日本の動物看護学をより発展させる上でオーストラリアの動物看護学は大いに参考になると思います。本研修に参加した学生さんはこの貴重な経験を今後に活かしてください。